やっぱり、あやしい絵展で見たかった作品。
上村松園「焔(ほのお)」
著作権が効いている作品なのでリンクだけ。
普段は東京国立博物館に貯蔵されている、この絵。
(2021/4/21現在、展示予定は未定になっています。)
この絵のモデルは、言わずもがな源氏物語に出てくる六条御息所。
光源氏と恋仲になる年上の高貴なお姉様で、教養のある理想的な女性。
の、生霊。
六条御息所という方は、
きっとムカっとして直ぐに嫌がらせを相手にするような女性ではなくて
自分の感情をしっかりコントロールできて、
努めて理性的に振る舞おうとする人。
強く想っていても簡単に行動できない立場の人。
極限までこらえてこらえて、精神が分離してしまって生霊になってしまった。
六条御息所自身も「理想的に振る舞わなければ」と思っているのに
化身に支配されてしまっているんですよね。
そういう内面が、抉るように描き出されている気がして、痛々しく刺さる。
そして、生霊になっても品位を保つ六条御息所の美しさ。
このあたりに、私自身はそそられているんだと思います。
この絵って作者が女性で、
女性同士の妬みを知っているからこそ、
女性の醜い部分や狂気を描けているような気がするんですよね。
そして、この生霊にに葵の上は命を奪われてしまう…。
一方、描かれてはいないけれど、葵の上側のことも少し。
その場に居ない人に心を支配されてしまう
というのは現代でもあるあるな話だと思うんです。
○○に言われた言葉が気になってモヤモヤする
とか
○○が怖くて(嫌で)仕事に行きたくない
とかね。
そりゃ、生霊が出てきて殺されるなんて絶対ないですが…、
他人が心に住み着いて病んでしまうとか、行きすぎたら命を絶ってしまう
って、現代もある話ですよね。
時代が変わっても、
こういうふうに精神が支配されてしまうことって変わらないし、
人間の感情も人間関係の煩わしい部分もさほど変わらない…
永遠のテーマなんだなぁ…。
あと、この物語から学べることは
人の恨みって極力買わない方がいいし、
煽るような行動って極力しないほうがいいし、
必要以上に敵は作らない方がいい。
って、これ、
出世争いのかかっているサラリーマンと一緒じゃないか。
とまぁ色々とぐるぐると考えていると、意外と親近感も湧いてくる絵です。笑
しかし、六条御息所、やっぱり綺麗。
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