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さくらももこさん「ひとりずもう」

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先日、さくらももこ展へ行って、さくらさんのエッセイの中で一番大好だったのが「ひとりずもう」だったなー、ってことを思い出して、もう一度読み返しました。

「ひとりずもう」には、さくらさんの中学〜短大入学くらいまでの青春時代の思い出が面白おかしく綴られていて、初めてこの本を読んだ私も、丁度、高校進学手前くらいだった気がします。

当時、中高と「ぬるま湯の極み」のような女子校に通っていた私も、「流石にこのままだと、将来ヤバい気がする」って思いながらも、毎日グダグダと生きていて、好きなことといえば、宝塚とロリータ服と服飾で、あとはどうでも良かった。笑

なんで先生に謝りに行かないといけないんだ
とか
家でグダグダしていたいから遊びの誘いを断る
とか、もう私と全く同じじゃないか。

なんだか、方向性は違うけれど、さくらさんと私は同士なのではないか、って当時は勘違いしてしまった。

このエッセイは、そんな調子で、本文208ページ中、173ページが終わります。笑

 

ただ、このエッセイの肝になるのは最後の3章で、高校3年生の春休みから生まれ変わったように、少女漫画家を目指し、行動に移す。

毎日毎日制作に励むけれど、必死に描いた少女漫画は入賞できなくて、短大への進学し、OLになることを決意。

しかし、短大の国文科の模擬試験の作文で、「エッセイ風のこの文体は、とても高校生が書いたものとは思えない。清少納言が現代に来て書いたようだ」という高評価を貰い、エッセイで漫画を描くことを思いつく。そして、とんとん拍子に事が進んで、漫画家デビューが決まる。

私は漫画家になりたい。
小さい頃からそう思っていたのだ。
絵も好きだし、文章も好きだ。それ以外のことは全部苦手だ。
そんな事、最初からわかっていたのに、私は何を迷っていたのだろう。

この部分が大好きで、当時、学生だった私は、凄く心が熱くなったのを思い出しました。

恐れ多くも、この部分を自分自身に言い換えると、

私は、ビンテージ風の洋服屋か骨董品屋(ギャラリーもいいな)をやりたい。
「仕入れ」という名目で、年に2、3回はヨーロッパへ行きたい。
小さい頃からそう思っていたのだ。
美術も好きだし、服飾も好きだ。綺麗なものが大好きなのだ。それ以外のことは全部苦手だ。
そんな事、最初からわかっていたのに、私は何を迷っていたのだろう。

という具合。笑

でも、進路を決める時に「服飾の専門学校へ行きたい」と両親に行ったけれど、「大学へ行きなさい、今の学校からわざわざ専門学校へ行くなんて」とバッサリ否定されてしまい、理系の学部へ行きました。さくらさん風にいうと、私は教科の中では、数学や物理は割と苦痛では無かったので(女子校だったし、頭の良い理系男子がいたら別だったかもしれない)、消去法で理系を選んで、その中でも若干芸術色が強そうだったから建築学科を選んだ。つまり、両親を説得したり、押し切るだけのエネルギーが私には無かった…。笑

さくらさんの「あとがき」が優しくて、
夢は情熱だけでは実現しない場合も多いけれど、「少し無理かも」と思ったら、微調整をしてみることが大事だよ、状況に応じて対応できる柔軟な心が大事だよ
ということが書かれていて、さくらさんから悩める子羊たちへ、最大限のエールに感じます。

この本を読み直すと、高校時代の私に「全然やりたいことやってる人生じゃなくてゴメン」と謝りたくなると同時に、高校生の頃に戻りたくなると同時に、これからの生き方を考えさせられるなぁ。

さくらさんのエッセイは本当に読みやすい。
文芸ってこういうものなんだなぁ。

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