先日、渡辺省亭展へ行ってきました!
撮影OKの休憩所。桜が半分散ってしまっている…&逆光。
この渡辺省亭(1851~1918)という方、
明治時代に活躍した日本画家で、国内よりも海外で人気が強いようです♡
先日の吉田博展といい、
今年は今まであまり注目されていなかったような実力派画家の美術展が多い気がします。
コロナで先が見えない中で、
海外から有名絵画を借りるのってリスクがあって難しいからこそ、
こういう美術展が楽しめているのかもしれません。
(私、カラヴァッジョ展が中止になってしまって
テンションガタ落ちだったのです。)
こういう機会に色々見ていると日本のアートも素晴らしいなって♡
折角だもの、日本美術に浸るのも楽しいですね。
ということで、渡辺省亭展の覚書&感想。
画法
- 絹に墨と岩絵具で描く
- 写実的
- 主題の花や動物は細かく描き込んむ、
背景は筆が荒く、毛筆の大胆な筆跡が目立つものが多い。
好きなポイント
淡く儚いグラデーション
薄くうすーく、着色してあって、その淡い陰影が綺麗。
日本画って平面的なものが多いけれど、
省亭の日本画は繊細なグラデーションで、立体感があって美しい♡
公式でお花や蝶々が動いているPVが公開されていて、
実際に見てみても正にこんな想像をしてしまう。
↓これ
こんなに動き出しそうな写実的で立体感のある日本画って中々無い!
唯一無二です。
こってりモリモリなゴッホみたいな油画も好きですが、
こういう岩絵具の日本画も良いなぁ。
写実的なのに、幻想的で夢々しい
主に明治時代に活躍した画家さんですが、
大正浪漫、はいからさんが踊る
という感じの世界観を最初にイメージしました。
なんというか、少しイラスト感もある絵だなぁ、
と思っていたら、省亭は本や広告の挿絵など商業分野の制作も
請け負っていたようです。
だからなのか?
なんだかドリーミーで可愛いらしいんですよね。
(省亭のお花の絵って、大和和紀さんの漫画に似合うなって少し思いました、笑)
こういう花鳥画、
何も考えずともうっとり幸せな気持ちになれて、好きだなぁ。
描く題材の選び方のセンスも素敵。
筆使いが自由自在過ぎる
省亭は12歳の時に質屋さんに奉公に出されるものの、
働かずに隠れて絵を描いてばかりいて使い物にならず
年季が開ける前にクビになってしまったそうなんです。
ちょっと親近感湧きますね。笑
そこから画家の道に進むのですが、
まずは歴史画家の菊池容斎に弟子入りして、
その3年間はず~っと毛筆で書道の修行をしていたそうです。
一見遠回りに見える修行ですが、
この間に自由自在に筆を操る技術を習得したよう。
省亭の作品は凄く芸が細かい。
テクニカルポイントが沢山詰め込まれているような絵ばかり。笑
特に、動物の毛並みの質感の表現がとっても巧みで、
背景なども、とめ・はねの迷いの無いスピード感のある筆跡に
才能を感じました!
私は特にもふもふのスズメさんの絵が好きです♡
和洋折衷
20代の頃にヨーロッパへ遊学して、印象派の画家と交流があったそう♡
ドガへ渡した鳥さんの絵も展示されていました。
「ドガー君」としっかり書いてあって、微笑ましい。
この絵をドガは亡くなるまで大事に持っていたそうです。
ドガって気難しそうなのに、
国境の壁を超えて認め合える存在って凄いな。素敵。
こんな風に西洋の影響があるからこそ、
同じように花鳥画を制作しても
先人の若冲などよりも、洋風でモダンな雰囲気になって、
唯一無二の画風になっていったのですね。
今まで国内で注目されにくかった理由
独自の表現方法を追求したいという思いから、
美術団体に所属せず、展覧会などにも出品しない、
弟子は作らない、というスタンスだったようです。
吉田博然り、自分の信念を貫き極めようとした画家って、
なにかと美術団体から距離を置いてしまって、
とーっても素晴らしい作品を生み出しているのに、後世に認知されにくい。
いつの世も同じ、あるあるな気がします…。
最後に
展示されている点数自体はそんなに多くないけれど
大きな絵が多く、1つずつの見ごたえがとてもあります。
ガラスケース内の大型作品の展示も多いので
細部までよ~く見たいと思ったらオペラグラスが必須。
本当、明治時代にこんな表現技法で
自在に筆を操れる画家がいたなんてびっくりです。
美術展の前半と後半で展示内容が少し異なるようなので、
時間があれば後半も行ってみたいなぁ。
↓本展で手に入れたお宝♡(ミュージアムグッズ)
ということで、今日は夢溢れる素敵な花鳥画の展覧会の感想でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた明日。
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