今週のバレエノートはお休みです(下手な大人バレエ…誰も楽しみにしていないと思いますが…)。
というのも、少し体調を崩してしまいまして。
多分、来週いっぱいくらいまでレッスンに行けないので、2週間ほどバレエはお休みすることになりました。涙
ということで、今日はその代わりに?、オルセー美術館で観たエドガー・ドガの描くバレリーナについて少し書いてみたいと思います。
※勿論、諸説ありますし、この時代にも素敵なバレエダンサーは沢山いらっしゃいました。でも、ある側面で見ればこういう史実もあったということを記録しておきたいし、知らなかったで済ませたくないのです。バレエが大好きなので、誤解の無いように書いています。
簡単に、ドガってこんな人
- 1834~1917年
- フランス人の印象派画家(に一応分類されてる)
- お金持ちな家に生まれて、古典絵画の教育をしっかり受けている
- オペラ鑑賞が趣味
- 気難しくて皮肉っぽい(らしい)
ドガの描いたバレリーナと時代背景
一見、ぱっと見では、とっても可憐で美しい絵画。
一見ね。
ドガって実家も裕福で古典絵画の教育をしっかり受けているので、やっぱり画力がありますよね。
でも、ドガの描くバレリーナって、高級娼婦の予備軍として描いているんです。
当時のフランス、
- 生まれた時点で身分階級が決まっている
- 中流階級以下の女性が手に職を付けて働けくことで、豊かに生活できる職業が限られていた(というか無かった)
- そんな中、高級娼婦に成り上がることができれば豊かな暮らしを手に入れられる
- 容姿に恵まれた子は高級娼婦を目指す
となるのですが、娼婦になるためにもステップがあって、当時のバレリーナは娼婦予備軍に実質なっていました。
高級娼婦になってしまったら値段が跳ね上がってしまうから、高値掴みしたくないパトロンが、バレリーナを稽古場まで見に来て物色していたとか。
更に、その稽古場には我が娘に期待を馳せるバレリーナの親(成り上がれなかった元娼婦)も同席していたとか。
ドガの描くバレリーナは、バレエの素敵な文化が、職業の選択肢の無い女性が成り上がるためのステップに利用されていた、っていう悲しい過去の記録になってしまっている。
勿論、素晴らしい点も沢山ありますが、ドガがバレリーナを描いた背景を知った時、なんとも悲しい気持ちになりました…。
それに、なんというか、描くにしても描き方ってあると思うんですよ。ベラスケスが小人症の方を描いても全然嫌味ないじゃないですか。例え話ですが。
悲しい「エトワール」
ちゃっかり一緒に写っちゃってますが、この絵、少し胸が苦しくなりました。
もっと威圧感たっぷりだったら嫌だなぁ、と思っていたのですが、思ったより小さな絵でした。
ドガって、ホラーシーンのように、下から人口照明を強く当てたような光の入れ方をして、ちっとも女性を綺麗に見せようとしてくれないんですよね。
なんか意地悪だなぁ、と。「カフェ・コンセールの歌手」とかもそう。
「エトワール」に描かれているのは、
「豊かになりたい」と願い一瞬の舞台に懸けるバレリーナと、
青田買いをしようかじーっと値踏みしているパトロン。
バレエってこんな歴史もあったのね…。
この知識、高校生の時に初めて知ったのですが、大人バレエに触れる前に知っていてよかったな、教養って大事だな、と。
無知故にバレエの先生の前で「この絵綺麗ですよね!」とかって気軽に言ってしまって、微妙な雰囲気になってしまったら悲しいですからね…。
時代によって、バレリーナの地位って違ったのですね。
参考雑誌
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