可愛い建築を見学
最近また建築熱が高くなってきて、
「やっぱり建築っていいよなぁ…」って、仕事で疲れた時の癒しになってます。
自由学園明日館
学生の頃から好きなんですよね。数年前「名建築で朝食を」というドラマでも取り上げられていて、懐かしいなぁ…、と思って観ていました。
可愛らしくて、慎ましくて、その中に芯があるような佇まい。色使いもめちゃくちゃ好み。
少し前になりますが、久しぶりに縁があって自由学園を見学してきました。自由学園明日館は定休日が設けられている訳ではなく、見学可能日が毎月異なるため、HPで事前に確認することが必須です。
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自由学園明日館の概要
自由学園明日館は、設立者羽仁夫妻の教育理念の元、1922年に自由学園の女学生のための校舎として建築されました。
現在は国の重要文化財として保存され、かつ、学習施設および会議・集会場等として現在も利用されている建築物です。
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概要
- 建築の所在:東京都豊島区西池袋2-31-3
- 建設年:1922~1927年(増改築を含む)
- 用途:研究・学習施設、会議・集会場(旧自由学園校舎)
- 構造・建築様式
① 中央棟:木造、建築面積592.2㎡
一部三階、東西翼屋及び半地下付、切妻造、銅板葺
② 東教室棟:木造、建築面積175.1㎡、切妻造、西面突出部付、銅板葺
③ 西教室棟:木造、建築面積175.1㎡、切妻造、東面突出部付、銅板葺
④ 講堂:木造、建築面積403.3㎡、一部二階、切妻造、左右塔屋付、鉄板葺 - 設計:中央棟・東教室棟・西教室棟=F.L.ライト・遠藤新、講堂=遠藤新
- 1997年、国の重要文化財に指定
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写真と感想
私が見学した時は、館内の写真撮影は可能、動画は禁止でした。
とても素敵だったので、一眼レフをもっていかなかったのを後悔…。(良いカメラを持って見学に来ている人、何人もいました)
撮影してきた写真と共に、感想を少し書いてみます。
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外観
池袋の南口(あまりの治安が良くない)の駅前を通り抜けて、住宅街を歩いて、「本当にこの先に重要文化財があるの?」と思った先に表れる明日館。
池袋って、駅から少し歩くだけで住宅街になるんですね。駅前は高層ビルだらけなのに、なんだか不思議。そして、自由学園明日館の前面の道は「F.L.ライトの小路」という名前。素敵。


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入口


可愛い扉。エントランスに段差はありません。この下駄箱は学園の設立当時から学生さんが使っていたままのようです。
思ったよりも暗い場所で、設計当時は室内に照明は一か所も設けない設計だったようです。…何故?
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廊下
照明を設けなかったのは、照明がないからこそ、光の落ち方が綺麗で映えるから?
廊下やホールの光の落ち方が美しい。なんだか泣きそうになります。
(…でも、流石に雨の日は教室が真っ暗になってしまいそうですね。)


晴れた日の午後。照明の無い廊下に
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ホール
ホールの雰囲気、好きだったなぁ。冬になると暖炉は今も現役で使われているそう。重要文化財の特権。
壁画は開校10周年の際に学生が描いたもの。自由学園明日館は戦中にも奇跡的に焼失しなかったため、戦後は建物を一時的に豊島税務署に貸すことになり、その際、この壁画が壊されないように、貸し出し中は壁画を隠していたそう。




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教室
絵本に出てきそうな可愛い空間。後付けされた照明が絶妙にマッチしています。

私は正直高校までの学生生活って苦手だったけれど、こんな学校だったら、毎日学校へ行くのが楽しかったのかも。学ぶ空間って大事ですね。
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食堂
私が一番好きな場所、食堂だったかもしれません。
細くて暗めの廊下と階段を通り抜けると、明るくて天井の高い食堂に出るんだよね。
テーブルは学校だった時から、ずっと同じものが使われていて、椅子は背もたれの部分が細くて壊れやすいため、中には修理・交換したものもまじっているとのこと。(古い椅子の方が軽いらしい)
ここでコーヒーとお茶菓子をいただきました。





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講堂
校舎と通りを挟んだ向かいにある講堂。めちゃくちゃ素敵な場所で、連続した窓が可愛い。
私が見学した時は、とてもラッキーな日で、この講堂で自由学園明日館の職員さんが建物の解説をしてくれました。すごく丁寧な解説で、建物への愛情が溢れていました。
現在、結婚式、演奏会や講演会等で使用される講堂。学校であった時代から、用途は変わっていない場所だそうです。


大谷石

外装、内装、床に多く使用われている、この石の名前は大谷石。
栃木県宇都宮市大谷町で採れる石材で、軟らかくて軽く加工しやすく、耐火性も高い性質。設計者のフランク・ロイド・ライトは自由学園明日館の設計と同時期に旧帝国ホテルの設計も手掛けていて、旧帝国ホテルにも同様に大谷石が随所に使用されているのです。(旧帝国ホテルのエントランス、名古屋にある明治村に移築されていて、今でも見ることができます。)
一説によると、旧帝国ホテルの建設の余剰品となった大谷石を自由学園明日館に用いた…とか。
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修繕・改修履歴
実は、自由学園明日館が校舎として使用されていたのは、たった13年間のみ。生徒が増えて、別の校舎に移転したのだとか。
所有者の学校法人は、竣工以来、大規模修繕は行ったことが無く、一時はボロボロの廃墟になってしまい、解体して収益不動産を建築する案まで出ていたようです。
しかし、卒業生を中心とした建物保存を望む集いや、建築関係者を中心とした保存運動団体が発足して、最終的には、重要文化財指定を受けることができ、現在は、各室のレンタル事業、公開講座事業、有料取材撮影の3本柱による収入源を作り、「動態保存」という形式がとられるようになったそう。
貴重な建築が一時期は無くなりかけたんですね。良かった、良かった。
(1997年の重要文化財指定後に行われた保存修理・耐震対策工事は、総工事費は8億円かかり、国、東京都、豊島区から約75%の補助金が支給されたようです…。)(それは、学校法人だけだったら建て直しも考える訳だ…)
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最後に
実は自由学園に行ったのは今回が2回目。1回目は10年くらい前に、大学の課題で3日間くらい、大学で貸し切りで居させてもらい、勉強した経験があります。
当時から好きな建築だったけれど、当時は「早く課題を終わらせて、一緒に受講している友達と池袋で飲みたい!」のが強くて、全然真面目な学生ではありませんでした。
10年、あっという間だと思う反面、長かったな、と思うことも多くて。考えや好みが同じ部分もあれば、全然変わった部分もあります。そんな中でも、自由学園明日館は変わらずにあって、10年前の今よりも無知で無邪気な自分に合えた感覚になりました。
10年後、私はどうなっているのだろう。また自由学園明日館に行きたいです。

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