昔からモノクロのクラシック映画が好きで、定期的にまた観たくなる映画が沢山あります。
華やかでアイコニックな有名な女優さんが出てくる映画も好きですが、そんな華やかさはなくとも、私はフェリーニの映画が大好きです。
特にフェリーニの「道」と「カビリアの夜」が好きで、Amazonプライムの会員特典コンテンツに「道」があったので、久しぶりに観たら、久しぶりにやっぱり泣いてしまいました。
私が「道」を初めて観たのが中学生の時。
当時は、地元の本屋さんで、著作権切れの名作映画のDVDが500円で並んでいた時代。(最近ワンコインDVDを見かけなくなったなぁ…)
最初は宝塚で舞台化された原作の映画のワンコインDVDを買って観ていたのだけれど、どんどんクラシック映画が好きになって、フェリーニを知り、「道」のワンコインDVDも購入しました。
当時、思春期の多感な時期だったからか、観ながら涙が止まらなくなってしまって。何故こんなに悲しい映画にハマったのかわからなかったけれど、ざっくり台詞を覚えるくらい、何度も観ました。
次に思い出して、「道」を観たのが、大学4年で進路に思い悩んだ時。
大学院に進学しようか、するなら院試を受けて外部に行くのか、それとも就活するのか、結局何がやりたいのか、とか。
色々と考えて、突き詰めて考えると「私って何のために生きているんだろう…」とか思い始めてしまって。
このまま研究室に居座っても自分が何の役にも立っていないように思えて、かといって社会で必要としてもらえる自信も無い。…けれどプライドだけは一丁前に高くて、それなりにネームバリューのある大企業に行きたいな、と都合の良い欲だけはあって。
その時、何故か思い出したかの様に、フェリーニの「道」を観ました。
「道」に描かれているのは、イタリアが貧しかった時代に必死で生きている人達。
論文の中間発表の時はボロクソに言われて投げやりになりそうだったけれど、この映画の中の人達を観て、「私の生きている世界は温いな」と思って、踏ん張ることができました。
そして最近、転職活動を始めてから、ふとこの映画を思い出して、もう一度見返したところです。
何故か、人生の岐路に立った時に思い出す映画。
不思議なものです。
昔は、ザンパノはとんでもなく酷い悪人だと思っていたけれど、今改めて観たら、「ザンパノも必死に生きていて、こうするしかなかったんだよなぁ…」なんて、大分映画の印象が変わりました。
しかし、何度観ても、ジュリエッタ・マシーナは本当に素敵。素晴らしい女優さんですね。
テーマ曲も最高です。
こんなにもシンプルで、ストレートにグサッと感情を抉るような映画。やっぱり、名作です。
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