今日は、3年前のスペイン旅行、トレド大聖堂の思い出。
ずっと見たかった、エル・グレコの「聖衣剥奪」を見て震え上がった時のお話。
エル・グレコが好きなのだ。
エル・グレコ、超癖の強い画家だと思います、はい。
でも、エル・グレコ、大好きなんですよね。
3年前にスペイン旅行でたらふくエル・グレコの作品を見て、
余計に大好きになってしまいました。
エル・グレコ(1541~1614年)、マニエリスム後期の画家。
超有名ですが、言わずもがなですが、
彼はギリシャ人。
(悲しいかな、本名のドミニコス・テオトコプロスとは誰も呼んでくれないのだ)
なのに、スペイン三大画家の座に君臨している、やりよる男。
若い頃から画力に自信満々で宮廷画家を目指すも、
王様にイマイチ気に入られず宗教画家に。
う~ん、ちょっと宮廷画家になるには癖強すぎな気がしますね。笑
実在する王様よりも神様を描いたほうが魅力が出そう、
なるべくして宗教画家になったような気もします。
スペイン三大画家って、
- エル・グレコ
- ベラスケス
- ゴヤ
の3人で、エル・グレコ以外の2人は宮廷画家。
この三人ではエル・グレコが断トツで癖が強いし色々と異色。笑
宗教画家なので、教会に飾るような大きな絵が多い。
実物を見た感想としては、
- 教会に飾るための大きな絵
- キラッキラでドラマチック
- ややアニメ感がある画風
- 全体が長い、細い
- 独自の解釈、構図、色彩
いやもう、マニエリスムだけどグレコリスムって感じ。笑
ここまで個性の強い宗教画家って中々居ないと思うのです。
ここまで我流を通しているのに、後世に残って評価されているって凄い。
そして
彼の宗教画、
実物を見ると物凄い有無を言わせない迫力。
確かにマニエリスムなんですが、
マニエリスムって、私の中ではもっと無機質(といっていいのかな)なイメージだったんです。
でも、エル・グレコの絵って
もっと生命力や躍動感みたいなものが宿っている気がします。
私的に、他の宗教画家の作品よりも
なんとなく情に訴えてくるというか、心に刺さるんです。
聖衣剥奪
「聖衣剥奪」と「オルガス伯の埋葬」がどうしても見たくて
トレドまで足を運びました。
(「オルガス伯の埋葬」についても書いたら長くなってしまうので、また今度)
しかし、トレド大聖堂って本当に素敵です。
「聖衣剥奪」のお部屋に入ると
エル・グレコの描いた絵画がぎっしり飾ってあって、
高い天井には美しいフレスコ画。
凄いよう、泣きそう。
有名絵画だけでなくて、
絵画がどのように装飾されて、どのような配置で飾られているのか
そこまで見られるから、
やっぱり実際に見てみたくてしょうがないんですよね。
これが見たかったんです。
あぁぁ、綺麗だなぁ。
なんかスローモーションでこのシーンがアニメのように動き出しそう。
そして、構図が独特過ぎ。
イエスの頭上より上にこんなに人間描くな~~~という感じですが…。
案の定、非難の声が上がり教会と揉めたようです…。
ほらもう解釈独特過ぎんだよう…と若干思ってしまいますが、
それもエル・グレコの魅力。
このシーンって
- イエスの処刑が決まる
- イエスが十字架を背負って処刑場所まで運ぶ
- 運び終えた後、イエスの聖衣が剥奪される←この場面
- 自ら運んできた十字架に張り付けられる
ものすごく残酷な場面のはずなのに、
描かれている人物、全員が美しくて
この、ぞわそわするようなシーンにぐっと入り込んで
なんだか涙腺が緩んでしまう。
エル・グレコの手腕の凄さだなぁ。
あとエル・グレコの絵を色々と見てみて思ったのですが
大きな絵なので、近くで見上げるようにして見ると
案外身体のバランスが良く見える気もします。
エル・グレコ自身が
時代の波に乗ってマニエリスムを取り入れて描いたのか、
教会で近くで見る人の視点を想定した構図で描いたのか
実際のところはよくわかりませんが、
絵画って現地で実物を見てみないとわからない良さもあるな、と。
エル・グレコは宗教画家の中で、かなり好きな画家。
また気が向いたらダラダラとグレコ語りをしたいと思います。
ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます。
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